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トリップ管理人の部屋

いつのまにか無くなってしまうものが世の中にはたくさんあります。ご近所の風景から文化遺産、廃墟、自己の存在意義まで、管理人が魂込めて贈るメッセージです。

2011年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年03月

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追悼 豊田正子

豊田正子さんが昨年12月に亡くなられていました。
追悼の意味を込めて過去のトリップ管理人の部屋より記事をご紹介します。

綴方教室の豊田正子と高峰秀子
実は私、今、高峰秀子がマイブーム(古い?)なのだ。先月鳳来町にある鳳来館で行われた「二十四の瞳」上映会にわざわざ行ったほどだ。先日CSで昭和14年制作、高峰秀子主演の「綴方教室」を放映していた。子供の頃のデコちゃんはかわいい。この「綴方教室」は当時小学生だった豊田正子の作文が本になったものが原作である。そこで、昔、よく話題になった、豊田正子と高峰秀子の確執について検証する。


昭和12年ラジオ放送で綴方教室を朗読する豊田正子(15)


朗読を聴きたい方はhttp://www.ai-trip.com/のお問い合わせから豊田正子の朗読が聞きたいとメールしてください。データを送ります。


昭和14年7月主婦の友で対談する豊田正子(18)と高峰秀子(16)
高峰秀子の豊田正子への第一印象は、貧乏人の屈折したところが無く、大らかな人柄に羨望と尊敬をおぼえ、好感を持ち、会うのが楽しかったと言っている。豊田正子は高峰秀子とは住む世界が違うと考えていたらしい。豊田正子は昭和13年8月の映画情報誌に「高峰さんが撮影所にいる私達がうらやましいでしょうと言ったが、私はうらやましがってもしょうがない。そんなこと考えてもつまらない。」と書いている。要約するとこんな感じだが、これだと高峰秀子の自慢に豊田正子が反発しているように聞こえる。でもよく読んでみると、女優と女工を比べても意味がない。撮影所を見学させてもらったからと言っていい気になって高峰さんと自分を同等に比べるなどとはとんでもないことだ。という謙虚な意味であって、反感など持っていないのである。高峰秀子は、豊田正子を同等に扱って、自分の友達のような感じで、うらやましいでしょといい、豊田正子は自分の立場をしっかりと理解し、ちやほやされながらも堅実な考えを持っていた。
それをマスコミが高峰秀子が自慢し、豊田正子が反発したと、ゴシップ記事を書いたらしい。そのゴシップ記事に高峰秀子が抗議すると、高峰秀子が豊田正子に抗議したと書かれたようだ。


「話」昭和13年11月号菊池寛と対談する豊田正子(17)
この対談で、菊池寛に食べ物では何が好きか聞かれた豊田正子は梅干しと答えた。当時豊田正子は貧乏のどん底にいて、マスコミにもてはやされていても、工場で働く毎日だった。しかし、貧乏だから梅干しが好きといったわけではなく、他にもいろいろ贅沢なものも好きだが、人間本当に飽きないものはそういうものだと語っている。ある意味、悟りを開いたような意見であるし、あまり素直な受け答えではないような気もするが、これが、豊田正子流のジョークなのであるし、本当に酸っぱいものが好きらしい。当時豊田の家庭では母親の不倫問題、生活苦など、様々な苦悩があり、天真爛漫に、好きなものはステーキ、などとは答える気がなかったのかもしれない。菊池寛が、将来、何になりたいか聞いたときも、何にもなりたくないと答えている。


この当時マスコミは、「好きな食べ物は?」と二人の少女に聞くと、高峰秀子は「いま、おなかがいっぱいなので分からない。」と答え、豊田正子は「梅干しとごはん」と答えたと記事にした。華やかな女優と貧しい女工の対比をおもしろおかしく書いたようだ。高峰秀子は後の自身のエッセイで、私がそんな殿様みたいな答えをするはずもなく、豊田正子も、そんなわざわざ自分を貧乏に見せるようなあざとい答えをするはずがないと言う意味のことを語っている。実際には梅干しが好きと行っているのだが、豊田正子はマスコミ受けをねらってあざとい答えをしたのではなく、前述の様な、豊田正子流ジョークを交えた正直な答えなのであった。ちなみに、主婦の友での対談では、豊田が「梅干しが好き」といい、高峰が「変なの」と語っている。
このような出来事があり、高峰秀子と豊田正子はなんとなく疎遠になった。



昭和14年1月28日豊田正子の手紙

昭和14年2月3日豊田正子の手紙




アサヒグラフ昭和14年7月号の豊田正子(17)
あの人は今、というようなコーナーで出演。
工場で着る作業服を洗濯中。




昭和16年の豊田正子(20)「粘土のお面」より




綴方教室の舞台化が決まったときの豊田正子



私の支那紀行執筆のため中国へ行った豊田正子(21)。昭和17年南京のお寺にて。この本のあとがきで検閲で変更させられたところを暴露している。本の内容は検閲しても、あとがきまでは検閲しなかったのだろう。おそるべし豊田正子である。
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| 豊田正子と高峰秀子 | 15:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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